「犬派?猫派?」「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎」

10時56分に恵比寿駅に到着。
Le grenier à pain(ル・グルニエ・ア・パン) 恵比寿店でパンを買う。

Le grenier à pain(ル・グルニエ・ア・パン)日本公式サイト

 

山種美術館
1966年(昭和41年)に山崎種二(山種証券[現SMBC日興証券]創業者)が、日本橋兜町に日本初の日本画専門美術館として開館。2021年(令和3年)年7月7日に創立55周年を迎えた。

日本画の専門美術館 山種美術館(Yamatane Museum of Art)

犬派?猫派?―俵屋宗達竹内栖鳳藤田嗣治から山口晃まで―

【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで― - 山種美術館

出品作品リストhttps://www.yamatane-museum.jp/exh/upload/list240512jp.pdf


第一会場
第 1 章 ワンダフルな犬
第 2 章 にゃんともかわいい猫

俵屋宗達、犬図、17 世紀(江戸時代)。水墨による子犬。たらし込みを用いた白黒のぶちで可愛い。

伊藤若冲、子犬図、18 世紀(江戸時代)。手箕の中で丸まる子犬3匹。箒の影から見る子犬。

伊藤若冲、狗子図、18 世紀(江戸時代)。白と黒の2匹の子犬。

円山応挙、雪中狗子図、1784(天明 4)年。子犬4匹。小さくて丸くてすごく可愛い!

長沢芦雪、親子犬図、18 世紀(江戸時代)。親犬と白と黒の2匹の子犬。親の毛並みが綺麗。長沢芦雪は、円山応挙に学んだ門下十哲の一人。

長沢芦雪、狗子遊図、18 世紀(江戸時代)。伏せている2匹の犬。

歌川広重東海道五拾三次・日本橋・朝之景、1833-36(天保 4-7)。放し飼いの犬2匹の後ろ姿。

歌川国芳、流行猫の曲手まり、1841(天保 12)年。

擬人化された猫たちが様々な鞠の曲芸を披露する。江戸時代の愛猫家と言えば、歌川国芳らしい。常に5,6匹の猫を飼い、絵を描くときも懐に子猫を入れていたとか。

歌川国芳、其まゝ地口猫飼好五十三疋、1848(嘉永元)年頃。

猫に関連させた地口(語呂合わせ)で、東海道の宿場名を猫のポーズに置き換えている。日本橋は、2本の鰹節で、2本出汁。大磯は大きなタコで、多いぞ。袋井は、猫の頭が袋に入っている。

歌川国芳、山海愛度図会 七 ヲゝいたい越中滑川大蛸、1852(嘉永 5)年

長沢芦雪、菊花子犬図、18 世紀(江戸時代)、撮影可能。

じゃれ合う9匹の子犬たち。鼻の周りが特に良い。丸山応挙と弟子の長沢芦雪は可愛い犬を描くと初めて知った。

竹内栖鳳、班猫、1924(大正 13)年、重要文化財、撮影可能。

旅先の沼津の八百屋で偶然出会った猫。毛並みが綺麗で上品に見える。

洋犬・遊女図屛風、17 世紀(江戸時代)。当時日本では難しかった洋犬を描く。茶色のダックスフンドのよう。

守屋多々志、慶長使節支倉常長、1981(昭和 56)年。支倉常長のローマ滞在時の姿を描く。支倉常長グレートデン、背景にはうっすらとローマの街並み。

川端龍子立秋、1932(昭和 7)年。愛犬家として知られたらしい。自らの愛犬ムクがモデル。

川端龍子、秋縁、1947(昭和 22)年。モデルはモルと名付けられた、セパード種。

北村さゆり、蝉の音、1996(平成 8)年

歌川広重、『浮世画譜』3 編、19-20 世紀(明治時代)、初版:天保年間(1830-44 年)

3編は歌川広重が担当した絵手本。開かれたページでは、様々なポーズで24匹の猫が描かれていた。

川合玉堂、狗子、1916(大正 5)年。少ない線だけで描かれているが、シンプルで可愛い。

奥村土牛戌年、1982(昭和 57)年。淡い。

奥村土牛、戌、1982(昭和 57)年。黒と茶のグラデーションに梅。

速水御舟、翠苔緑芝、1928(昭和 3)年。

右隻は柿?の木の下に黒猫。左隻は青い紫陽花にうさぎ。

山本丘人、壁夢、1976(昭和 51)年。紫陽花の下に白猫。赤系の服と青系のスカートの女性の間にいる。

堂本印象、桜、1935-44 年頃(昭和 10 年代)

麻田辨自、薫風、20 世紀(昭和時代)。黒と茶の二匹の犬。淡くて可愛い。

岩橋英遠、双狗、1976(昭和 51)年。白の長い毛の犬と赤い牡丹。ファン・ファンと名付けられた愛犬のペキニーズ

藤田嗣治、Y 夫人の肖像、1935(昭和 10)年
女性と4匹の猫。猫を友達にする訳は、猫は野獣性と家畜性との二つの性質を持っているかららしい。藤田嗣治はサインの代わりに猫を描くこともあった。

川合玉堂、猫、1951(昭和 26)年頃

奥村土牛シャム猫、1974(昭和 49)年

小林古径、猫、1946(昭和 21)年

加藤登美子、草迷宮 此処は何処の細道ぢゃ…、1993(平成 5)年。泉鏡花の「迷宮宮」に取材した作品。

小針あすか、珊瑚の風、2023(令和 5)年

山口晃、捕鶴圖、2014(平成 26)年。擬人化された猫たちが鶴を捕まえようとしている。

國司華子、オチツケ!、2020(令和 2)年

 

第二会場へ。
特集展示 トリは花鳥画

菱田春草、柏ニ小鳥、20 世紀(明治時代)。金地の背景に、柏と蔦紅葉に、ホオジロの雌。

村松篁、白孔雀、1973(昭和 48)年。黄色いハイビスカスに白孔雀。長い尾に透明感があり、美しく神秘的。

横山大観、木兎、1926(大正 15)年。
暗闇の中で木の枝ににとまる木兎(みみずく)。横山大観は動物好きで、自宅で犬、小鳥、猿、ロバなどを飼っていたらしい。

 

15時00分に恵比寿駅発の東京メトロ日比谷線で約15分、15時14分に日比谷駅に到着。


静嘉堂文庫美術館

静嘉堂文庫竣工100年記念 特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎―「地獄極楽めぐり図」からリアル武四郎涅槃図まで」

出品目録https://www.seikado.or.jp/file/wp-content/themes/seikado/images/exhibition/240413/exhibition_list240413.pdf

 

絵師・河鍋暁斎と、探検家で好古家、著述家、北海道の名付け親である松浦武四郎は、幕末から明治期を生きたマルチタレント。
その二人が関わる「武四郎涅槃図」(北海道人樹下午睡図)は、松浦武四郎を釈迦に見立て、周囲には釈迦の弟子や十二支の動物たちの代りに武四郎の沢山の愛玩品が集まる、変わり涅槃図。
第三章では「武四郎涅槃図」と、そこに描かれた、「大首飾り」をはじめとした武四郎愛玩の品々(武四郎記念館所蔵品と静嘉堂文庫美術館所蔵品)を同じ空間で展示し、「武四郎涅槃図」を立体的に再現している。


ホワイエの床には、東西蝦夷山川地理取調図の複製。
北海道の名づけ親である松浦武四郎は1845年(弘化2年)以来、蝦夷地探査を6度実施した。北海道の全沿岸を三周、樺太南部沿岸を二周し、国後島択捉島も踏破した。
この作品は1854~1855年安政4~5年)に箱館奉行の命で前人未到の内陸の調査後に刊行した詳細な蝦夷島・国後島択捉島の地図。一枚が経度・緯度の一度で、全26枚を繋ぐと240×360cmの地図となる。当時の販売価格は銀180匁。

第1章    暁斎と武四郎―『撥雲余興』まで
地獄極楽めぐり図、河鍋暁斎
14歳で早世した少女の追善供養のために描いた画帖。
阿弥陀三尊の案内で冥界見物をしたり、先に亡くなった親族と再会したり、閻魔大王と宴会したりしながら、極楽に到着する。

撥雲余興、松浦武四郎著・出版
武四郎蒐集の名品図録。

鬼面鈴

東西蝦夷山川地理取調図、松浦武四郎
江戸幕府蝦夷地調査の集大成。武四郎の道案内をしてくれたアイヌの名簿も掲載する。

ホワイエには、老猿面も展示されていた。


第2章    第二章 暁斎と武四郎―天神信仰と祈りの造形
天満宮背面拓本、重要文化財
西日本の天神社のうち25社を菅公の聖廟二十五霊場と定め、神鏡と石碑を奉納した。その奉納鏡を拓本にとって軸装したもの。

日課天神像、河鍋暁斎重要文化財
天神と観音を描くことを日課とし、湯島天神浅草観音堂、護国院などに奉納していた。

野見宿禰図(絵馬)、河鍋暁斎
野見宿禰は相撲の祖で、垂仁天皇の皇后の薨去に際して、殉死の代わりに陵墓に埴輪を立てることを進言し、土部臣(土師臣)を許された人物。

鳥図袋、河鍋暁斎重要文化財
火之用心袋、日下部鳴鶴重要文化財

骸骨図縫付傘、河鍋暁斎重要文化財
武四郎が人生最後の旅とした大台ケ原登山にも携帯した傘。暁斎の骸骨など友人たちの寄せ書きとなっている。
日本に現存する洋傘において最初期のもの。

慈覚大師伝、重要文化財
慈覚大師円仁の伝記。


第3章    第三章 暁斎×武四郎=「武四郎涅槃図」

鉄製大黒像、重要文化財
武者像
妙楽菩薩塑像、三浦乾也・河鍋暁斎彩色、重要文化財
鉄製懸仏、重要文化財
老子像、重要文化財

天満宮神影、土佐光重筆

藤原朝忠像、伝後醍醐天皇重要文化財

蛤観音図、伝秋月等観、重要文化財

大首飾り

火之用心袋、巖谷一六、重要文化財

武四郎涅槃図、河鍋暁斎重要文化財
武四郎が自宅で昼寝をする自身の姿を釈迦入滅の情景に見立て、暁斎に描かせた。
胸には大首飾り、腰には火之用心袋。足元には妻・とう。
天井には摩耶夫人ではなく、遊女たち。

白衣観音図、狩野探幽重要文化財
壁書図、伝雪村、重要文化財

猿猴図、周耕、重要文化財

「渋団扇帖」のうち、柴田是真、重要文化財

木鬼面

武四郎が自らの旅の人生を振り返る場として、自邸に作った一畳敷の書斎のパネルも展示されていた。

武四郎涅槃図は、「法然と極楽浄土」(東京国立博物館)にあった法然寺(香川県)の仏涅槃群像(江戸時代・17世紀)のように展示されていると思ったので少し残念。縮尺的に難しいのか。


第4章    第四章 好古趣味の系譜―静嘉堂文庫と千歳文庫
近世蝦夷人物誌、松浦武四郎
武四郎が蝦夷地滞在中に交流したり噂に聞いたりした、アイヌのうち典型的な100人あまりの列伝をまとめたもの。

昌平宝鑑、松浦武四郎
日本国内の珍しい古銭の図録。コインの拓本が貼ってある。

洋貨図録、松浦武四郎
外国のコインを集めた図録。

曜変天目、国宝

 

東京駅から帰る。